方々です.閉じた箱として計算機やワープロ,ゲーム機として使うだけでなく,外界とインターフェー
スしていろいろな物理量を測ったり取り込んだり,また,処理して表示させたり,さらに外部につない
だメカなどの機器を制御するといった計測制御システムに興味のある方に向けて書きました.私たちの
五感やそれ以上の入力に対してパソコンが反応したり,自分が作ったプログラムで現実世界の何かが動
くことは,ホビーとしてもたいへん魅力的です(図0-2).
 LabVIEWは,足し算や引き算のような簡単なプログラムもできますが,特に計測や制御に必要な便
利な機能をたくさん持っています.プログラムによってパソコン(PC)をさまざまな計測機器や制御機
器に化けさせることが得意です.本書では,このことをバーチャル・インスツルメンツ(仮想計測器)と
呼んでいます.
 このバーチャル・インスツルメンツという言葉自体は知らなくても,すでに世の中にはこの考え方に
よって作られた機器がたくさんあります.コネクタのみでディスプレイやスイッチがなく,PCにつな
いで使う測定器や,ソフトウェアによって違う機能を発揮する「プログラム可能」な「モノ」に心当たりが
あると思います.それらのしくみを理解するうえでもバーチャル・インスツルメンツの考え方が役に立
つはずです.
 この意味を知らずに,いきなりツールの使い方から始めてしまうと,どうしてLabVIEWがよいのか,
ということさえもわかりにくくなりそうなので,最初はいろいろな測定器を考えながらバーチャル・イ
ンスツルメンツを説明していきます.測定器というよりも,コンピュータ計測の超入門的な解説といっ
たほうがよいかもしれません.
 また,コンピュータ計測の基本は,イコール電気量の測定なので,どうしても電気にまつわる話が多
くなります.しかしながら,この部分を理解することはとても大事ですから,しっかり理解しながら読
み進めてください.計測制御に関する基礎的なことをご存知の方は,第3章から読み始めていただいて
もかまいません.

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0-1 ツールとしてのLabVIEW

図0-2 米国の高校生ロボコンFIRSTではLabVIEWが標準