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1-2 アナログ測定器のしくみ

て調整することを校正と言います.
 例えば,日本での電圧の標準器は,大元がジョセフソン効果電圧発生装置と標準分圧器で,それを
使って2次標準器となる電圧発生装置と電圧測定器を校正し,さらにそれを使って実用参照標準器の電
圧発生器やディジタル・マルチメータ,直流電圧計,標準電池などを校正しています.われわれ一般ユー
ザやメーカは,その実用参照標準器に合わせるというわけですが,測定器メーカから発売されている校
正用信号発生器はさらにその下位基準のこともあります.
 筆者の周りでは,社内で基準になる機材を「神様」などと呼ぶことがあります.本当かどうかわからな
いけど,信じるしかないということなのかもしれません.

1-2

●測る対象はアナログ量

 この世にある物理量はアナログ量です.アナログ量とは,時間の流れに伴って「連続した値」として発
生するものです.ここでいう連続とは,無数の値で表現されるという意味です.1の次は2でしょうか? 
いいえ,その前に1.5があり,その前には1.25があり,その前には1.125があり……と無限に割り振るこ
とができます.ちなみに,1の次を2としてしまうのがディジタルです.
 アナログ量を測ってアナログ的に値を割り出すには,位置を(目盛りで)読み取るのが普通です.もの
さしや棒温度計,指針式の体重計やテスタ,はては画面に電子ビームで線を描くオシロスコープ(アナ

図1-1 ジョセフソン接合アレイ(左)
セシウム周波数標準器
(右)

(写真提供:産業技術総合研究所)

図1-3 電気標準(直流電圧)のトレーサビリティ

図1-2 巻き尺