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2-1 制御装置

 D-Aコンバータから出てくる信号は変換クロックのタイミングで値が変化し,次のクロックまで同じ
値が保持されるので,連続波形を出力すると変化の激しい箇所で階段状の波形になることがあります.
もし問題があるときは,よりビット数の多いD-Aコンバータを使って分解能を上げるか,高速のクロッ
クを使ってデータ量を多くするか,適当なアナログ・フィルタを通して信号を滑らかにするなどの工夫
が必要です.

●トランスデューサ(パワー・ドライバ)

 D-Aコンバータの出力信号は電圧の変化として出力されます.これを物理量に変換するのがトランス
デューサです.例えば,ランプは電気を光に,ヒータは電気を熱に,モータは電気を回転運動に変える
トランスデューサです.針式のメータは,電気→位置のトランスデューサともいえます.
 この方向の変換は物理量を制御するためのパワーが必要で,D-Aコンバータの微弱な電力で直接駆動
できることはまれです(例えば,スピーカはパワー・アンプがないと音が出ない).その他にも制御対象
の都合に合わせなければならないため,専用に駆動装置が用意されている場合がほとんどです(図2-4).
 駆動装置への入力信号はアナログまたはディジタルで用意されています.何Vや何mA,またはディ
ジタルのビット・パターンに対して,どのくらいの物理量を変化させるかが規格で示されているので,
それに合わせて信号データを用意します.電圧−電流変換や信号を絶縁する必要がある場合は,そのた
めの調節器を間に入れます.

●スケジューラ

 PC側であらかじめ順序を決めておき,そのとおりに動かすことは比較的簡単にできます.例えばニー
ズが多くはないかもしれませんが,ペットや家畜のために,朝7時になったら柵を開け,12時になった
らお昼のサイレンを鳴らして餌箱の蓋を開け,5時になったら寝床に帰る合図の音楽を流すことを毎日
繰り返す,ということも可能です.

●計測結果を元に制御

 測定した結果によって動きを変えることもできます.ロボットもずいぶん高度な動きができるように

図2-3 D-Aコンバータの出力