6-1 STM431JとUSB400Jを使ってみる 75

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 電池レス無線通信EnOceanを実現するために各種
のモジュールが販売されています.これらについては
第2章でそれぞれの特徴や使い方について簡単に解説
しました.本章では,EnOceanの代表的なデバイス
であるSTM431JとUSB400Jを使って,より具体的に
EnOceanモジュールの使い方を紹介していくことに
します.
 

6-1 STM431JとUSB400Jを

使ってみる

 写真6-1(a)に示すSTM431Jは,環境発電だけで無
線通信ができる温度センサ・モジュールです.このモ
ジュールは太陽電池で動作し,無電源で動作する無線
センサとして簡単に使用することができます.
 表6-1に,STM431Jのテクニカル・データを示し
ます.照度が50ルックスから動作するので,室内の
明るさでも余裕で動作します.デフォルトでは0〜
40℃の温度センサとして動作しますが,後で説明する
ようにファームウェアを変更することにより,データ
通信ができるゲートウェイ・モジュールとしても使う
ことができます.
 写真6-1(b)に示すUSB400Jは小型のUSBスティッ
クで,パソコンにプラグインするだけで,仮想シリア

ル・インターフェース(FTDI仮想COMポート)によ
り簡単にEnOcean通信の送受信機として使うことが
できます.STM431Jからの無線データを受信するだ
けでなく,ゲートウェイ・モジュールを使ったデータ
の送受信やリピータなど,幅広い応用に使うことがで
きます.

●EnOceanモジュールのセットアップ

 まず,STM431JとUSB400J を使えるようにする手
順を説明します.
①EnOceanのホームページでユーザ登録をすると,
下記のURLにあるツールの中からDolphinView Basic
をダウンロードできるのでこれをインストールします.
  

http://www.enocean.com/en/ 

  download/

 次に,USB400Jをパソコンに接続します.ここで

実践編

渡辺 明禎

温度センサSTM431Jと 

無線受信機USB400Jの使い方

6

EnOceanモジュールの活用とファームウェアの

書き換え方

(b)USB400J

(a)STM431J

写真6-1 STM431JとUSB400Jの外観

項 目

仕 様

アンテナ

ヘリカル・アンテナ

周波数

928.35MHz

データ・レート/変調方式125kbps/FSK
送信出力

0dBm(標準)

電源電圧

内蔵太陽電池

照度;50〜100000ルックス

電圧範囲;2.1〜5.0V

(スタート・アップ時は2.6V以上)

暗時の初期動作時間

(25℃)

4日(標準),60時間(最小)

フル充電,100sウェークアップ,

1000sテレグラム送信

空充電時の動作

スタート・アップ時間

2.5分(標準)400ルックス/25℃時

入力チャネル

内部;温度センサ,LRNボタン

外部;占有ボタン,設定ボリュー

ム,HSM100

温度センサ

0〜40℃,0.16K分解能

精度(標準)

±0.5K(17〜20℃),±1K(0〜40℃)

伝送距離

見通し伝播距離;

30m(廊下),100mまで(ホール)

無線通信規則

ARIB STD-T108

モジュール・サイズ

43×16×8mm

重さ

4.5g

表6-1 STM431J のテクニカル・データ

CQ_EnOcean_075_090_06(05)-1.indd   75

2017/03/23   9:34