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RF DESIGN SERIES基本動作の理解からロー・ノイズ化の手法まで高周波PLL回路のしくみと設計法
PLL(Phase Locked Loop)の技術は周波数シンセサイザとして急速に普及し,衛星通信や携帯電話などの多くの無線機器にとどまらず,様々な分野での応用が進んでいます.
専用ICを使えば,数GHzのPLL周波数シンセサイザでも少ない部品点数で作れます.しかし最近では,正確な周波数を得るだけでなく,ロー・ノイズ,小さなスプリアス,高速な周波数切り換えなど,さまざまな性能が要求されます.用途に応じて最適な設計を行うには,PLLの設計は難解で,多くの知識と技術を要します. そこで,あえて汎用部品でPLL周波数シンセサイザを設計してみます.動作を事細かに把握でき,PLL設計に必要な知識や技術を習得できます.PLL用ICの内部に構成されている回路を理解する近道になり,ICを利用する場合に大きく役立ちます. 本書では特に,位相雑音特性について重きを置いてPLLの設計法を解説しています.発振器から発生する位相雑音がPLLの出力にどのように現れるのかを示し,位相雑音特性をもっとも良好にするループ・フィルタの作りかたも説明します. PLLの性能を向上させるためのヒントがこの一冊に詰まっています. 目次
第1章 PLL回路と位相雑音の基礎知識 PLL回路の基礎知識を深めよう PLL回路の動作 PLL周波数シンセサイザの基本構成 実用的な構成 例題として製作するPLL周波数シンセサイザ 位相雑音特性の例 不要信号スプリアス 位相雑音を定量的に観測するための定義 位相雑音の重要性 位相雑音の発生源 位相雑音の小さいPLL周波数シンセサイザを作るには 発振器の位相雑音を定量化する 第2章 基準信号発振器の設計と特性 基準信号源に要求される特性 基準信号源に使える水晶発振器 設計のために水晶振動子の性質を理解する 水晶振動子の共振周波数を可変にする 水晶振動子を使った発振回路のモデル 発振に必要な条件をシミュレータで解析する 位相雑音特性のシミュレーション 10MHz VCXOの設計 製作した10MHz VCXOの特性 第3章 LC発振回路設計の基礎 発振器をアンプとフィルタに分けて解析する LC共振回路の基礎 LC共振回路のインピーダンスとリアクタンス LCR共振回路の性能はQで表す 共振回路のLとCの値の決めかた 高Qを妨げるLC素子の寄生成分 無負荷Qと負荷Qの関係 目的の共振周波数と高Qを得るフィルタの定数 フィルタ+アンプで発振器をシミュレーションする アンプの特性を改善するには 第4章 VCOの設計と特性 VCOに要求される特性 広帯域特性を兼ね備えた低雑音VCOを作るために必要なもの 固定発振器からの位相雑音を減らす三つの方法 VCOでは位相雑音を悪化させる要因がさらに増える 低位相雑音のためには可変帯域幅を必要最小限に バラクタ駆動回路を低雑音化する必要がある VCOの電源を作るレギュレータの選択も重要 VCOのキー・パーツはコイルとバラクタ 特性の良いコイルを自作する コイルのシミュレーション用等価回路を求める もう一つのキー・パーツ バラクタ バラクタのシミュレーション用等価回路を求める アンプ+フィルタで定数を調整する 周波数可変範囲をシミュレーションで確認する 製作した180M〜220MHzVCOの出力特性 より広帯域の180M〜360MHzが発振できるVCO VCOの位相雑音を測定する方法 試作した二つのVCOの位相雑音特性 180M〜220MHzVCOの位相雑音特性を改善する方法 VCOにはいろいろな共振素子が使われる 第5章 位相比較器の設計と特性 ミキサ型を例にして位相比較器の動作を理解する ミキサ型位相比較器の問題点 信号レベルによる誤差が発生しないExOR型位相比較器 ミキサ型とExOR型に共通した欠点 動作範囲の問題を解決した位相周波数比較器 VCOへ送られる制御電圧を作る回路を追加する 位相周波数比較器を製作する 製作した位相比較器の感度 位相周波数比較器PFCの不感帯デッド・ゾーン デッド・ゾーンの影響を小さくするアンチバックラッシュ回路 PFCは他の位相比較器より位相雑音が大きい 第6章 分周器の設計と特性 高周波PLL回路には分周器が三つ使われる 分周器の基礎となるカウンタ回路の動作 非同期カウンタで構成した分周器は誤動作する場合がある 高い周波数で使う分周器は同期カウンタで構成する 分周比固定の分周器 プログラマブル分周器 高周波を扱うPLLに必要な分周器プリスケーラ 周波数分解能を上げられるパルス・スワロ・カウンタ パルス・スワロ・カウンタの欠点 分数分周で性能を上げる方法もある 第7章 PLLを安定動作させるループ・フィルタの考え方 特性の鍵をにぎるループ・フィルタ ループ・フィルタの設計が悪いとどうなるか? RC回路のゲインと位相の周波数特性を理解しよう PLL回路は負帰還回路 安定な負帰還回路の条件 位相で考えるとVCOの動作は90°遅れ RC1段フィルタをループ・フィルタにすると 位相余裕を確保しやすいラグ・リード・フィルタ 欠点の少ない実用的なループ・フィルタ 広帯域を可能にするにはアクティブ化が必要 3次形アクティブ・フィルタを使ったPLLの例 第8章 良好な過渡特性を得るループ・フィルタの考え方 周波数を切り替えてもすぐには目的の周波数にならない PLLの設計には過渡応答の理解が欠かせない RLC直列回路を例に過渡現象を理解する RLC直列回路の過渡応答特性は減衰振動になる 振動の減衰しやすさを示す減衰係数ζ 減衰振動の固有角周波数ωDとωN PLLの過渡応答特性を数式で求める手順 簡単な例でPLLの伝達関数を求める 伝達関数から過渡応答特性を表す式を求める PLLの過渡応答がどのような形になるか見てみよう ラグ・フィルタを用いたPLLの過渡応答特性 ラグ・リード・フィルタを用いたPLLの過渡応答特性 第9章 設計条件からループ・フィルタの定数を決める どのようなフィルタが必要なのか ループ・フィルタの回路構成 完全積分3次形PLLのループ特性をボーデ線図で表す ループ特性の条件からフィルタの条件を求める アクティブ・フィルタの定数を求める チャージ・ポンプに使うパッシブ・フィルタの定数を求める アクティブ・フィルタの定数算出例 パッシブ・フィルタの定数算出例 ループ・フィルタの設計例と位相雑音の違い 第10章 良好な位相雑音特性を得るループ・フィルタの設計法 PLLの位相余裕φCと位相雑音の関係を定量的に求める PLLのカットオフ周波数fCと位相雑音の関係 fCを境に位相雑音の要因が入れ替わる 発振器の位相雑音特性からfCの最適値を求める fCは分周数Nなどで変わるので補正も考える PLLの位相雑音を最も良くするループ・フィルタの設計手順 NT=360,fR=500kHz,fout=180MHzの設計例 NT=1400,fR=200kHz,fout=280MHzの設計例 第11章 PLL回路の応用 変調のしくみと角度変調 PLLを用いて角度変調する PLL技術のそのほかの応用例 Appendix 180M〜360MHz PLL周波数シンセサイザの外観と回路図 |
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